かなざわの人物 小川笙船

オガワショウセン 1672-1760 江戸時代中期の町医者。名は広正、号は雲悟。

 小川笙船は小説「赤ひげ診療譚」(山本周五郎)、映画「赤ひげ」(監督:黒澤明 主演:三船敏郎)の医長・新出去定(ニイデキョジョウ)のモデルとなった人物です。先祖は羽柴秀吉に仕えた小川土佐守祐忠です。
 関ヶ原の戦いでは、小早川秀秋の前方に布陣して、秀秋が東軍に味方すると祐忠も寝返りましたが、戦後なぜか改易となってしまいました。
 金沢文庫駅の北方・片吹に太寧寺・笙船の墓があります。かつては平潟湾の夕照橋近くの瀬ケ崎にありましたが、旧海軍の命令で昭和18年移転しました。平成13年太寧寺・源範頼墓の近くで、埋もれていた「雲悟子之墓」が掘り出され再建されました。同21年6月14日笙船没後250年忌祭が行われました。
 8代将軍吉宗の時代、笙船は目安箱に建言書を投書して、享保7年(1722)12月小石川養生所(現文京区小石川植物園)が設立されました。江戸麹町や白山・伝通院に住んでいて、晩年の3年間は瀬ケ崎や六浦三艘辺りで過ごしました。風光明媚な金沢を愛し、平潟湾の浅瀬や周りの山々を散策するなど楽しんでいたようです。宝暦10年(1760)急に体調を崩し江戸に帰り、6月14日病死しました。小石川・光岳寺に埋葬。

(井上泰利)

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